私は目の前のジョッキの中に半分入っている、黄金色の液体を持て余しながら
頬が赤く、そして熱くなっている自分を感じていた
お酒を飲む事は嫌いでは無いけれど
まだまだアルコールは身体に馴染んでいないんだろうなってそんな事を考えていた
「だ〜か〜ら〜、たちのこと見てると、もうじれったいったらない!」
少し強いカクテルを3杯空けた奈津実が、私の頬をペシペシと叩いた
「そんな事言ったって、私たちは・・・お友達でしかなくて・・・」
「だから、あんなに毎週のようにデートしていながら
アンタ達は何ゆえ、きちんと付き合うってしないわけ?」
「おい、自分ちーっと飲みすぎとちゃうのん?
ちゃんに絡んだら可哀相やろ」
「だってぇ〜まどかもそう思うでしょ?」
高校を卒業する時に、姫条くんから告白された奈津実
それから一年半たった今、私は目の前にいる二人に
以前にも増して仲が良くて息のあったところを見せ付けられていた
「せやねぇ、お互いの気持ちがキッチリ解かってるんやったら
付き合うのは自然な気はするけどな・・・」
姫条くんはそう言って苦笑する
「でしょー!だ〜か〜ら〜、今日こそは、、アンタ勝負賭けなさい」
「えーっ!?勝負ってなによ・・・」
「葉月くんの家に行って、気持ちを聞き出すのー!」
「そ、そんな事、どうやって?」
「そんなの簡単じゃん、ハッキリ聞くのが一番
『葉月くんには好きな人いるの?』って
で、いるって言ったら『それって誰!?』って聞くわけー!」
奈津実は私より更に頬を紅潮させて力説していた
確かに、私自身も思う
私たちの関係は「友達」でしかなくて、それから一歩踏み出すことが出来ない
気持ちを伝える事で、その「友達」であることすら出来なくなってしまったなら
そう心のどこかで感じている私がいる
けれど、何かを変えなければ、何も変わらないままに時間だけが過ぎてゆく
高校を卒業して、同じ一流大学に通うようになって
常に、彼の「隣」をキープしてきている自負も、一応は感じていた
「葉月くんにハッキリ聞いて、それでダメならもう仕方ないさ!
とにかく、私はトイレに行ってくる!!」
「自分ホンマに飲みすぎやろ、平気か?」
奈津実がそう言って席を立つと、姫条くんが心配そうに声をかけた
奈津実は「大丈夫ー」と笑う
二人の姿を見ながら、私は目の前のジョッキに残っていたビールを一気に飲み干した
「おいおい、ちゃん、そんなん一気飲みはアカン、まわるで」
「いいの!少しくらいまわらないと、私、何にも出来ない!!」
そうなんだ
私・・・、ちょっと酔っちゃおう
酔った勢いがあれば、珪くんに言いたい事言えるかもしれない
そう思った私は、奈津実が注文していたカクテルを
横取りして、それも一気に飲み干した
口の中にライムの香りが広がって、少し炭酸が効いてていい気分かも
「あ〜、マジで大丈夫かいな」
「大丈夫よ!もう、姫条くんは奈津実の事だけ心配してれば良いでしょ!」
そう言って、姫条くんのグラスの梅サワーにも手を出そうとしたら
さすがに「ええ加減にせなアカン」そう言って出した手を叩かれた
もう!何さ!
アンタ達こそ、目の前で仲良くするのはいい加減にしてよ!
私は心の中でそう叫んでいた
暫らくして奈津実がトイレから戻ってきて、私たちは居酒屋を後にした
ほんの少し、足元がフワフワした感じが心地良いかも
「じゃ、、私はまどかの家に泊まるからね
アンタは、葉月くんの家に直行する事、いい?」
「もう、解かったわよ!
二人でラブラブエッチでもなんでもすれば良いでしょ!
私だって、珪くんに言いたい事言ってやるんだからぁ!」
「そうそう、その意気!応援しちゃうからね〜」
私より更にフラフラした奈津実を、ベンチに座らせると
姫条くんが、真顔で私に話し掛けてきた
「ちゃん、あんな
コイツの言う事、真に受けてるかも知らんけど
誰にでも、それぞれの付き合い方があるねん」
「何それ?」
「俺らの付き合い方と、葉月とちゃんの付き合い方は
違っていて当たり前なんやで」
「そんな事、姫条くんに言われなくたって、解かってる
解かっているからこそ、何とかしたいって思うんじゃないの・・・もう!」
「せやから、『本気』の気持ちは・・酔ってない時の方がええ」
「解かってるよ、私酔ってなんかないもん」
「酔ってるやろ?充分酔ってる」
「うるさいなー、もう珪くんのところにいくから、じゃね!」
「ちょぉ〜待てや〜!」
姫条くんの声を背中に聞きながら、私は反対方向へ走った
目的地はもちろん珪くんの家
今日こそは絶対気持ちを聞きだしてやる
珪くんに「好きだよ」って言わせてやるんだから!
あれ・・・、走ったらなんだか更に気持ち良いかも
酔ってなんかないのに、足がフラフラするのは何でだろ?
ま、いいか
とにかく、珪くんに電話だ!
私はカバンの中から携帯を取り出して、発信ボタンを押した
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